ひとけのない路地を選んで/大口で囓る/空腹の限界は急に訪れ/夏終わりの夕暮れ/コンビニのコーンマヨネーズパン/選べなくてピーナッツコッペパンも/人目もはばからず/つぎつぎと/どくどくと/身体へながれて/コーンのこぼれた包装紙をくしゃっと握る/ガシガシ食ってガシガシ歩く/愉快な気持ちになる/ちがう生を生きているみたいだ/秋の風と夏の湿度が重なるくらいの/薄い空に/右側だけのうすいうすい三日月/両肩に本の入った重たいバッグ/ぜんぶがちょうどいいとおもう/ピーナッツクリームが甘くなってきたあたりで/ジャスミンティーを一気にのみほす
「味わいの採集」
同じものを食べてもその時の環境、自分の体調、気温、気分などなどによって味の感じ方は変わります。その組み合わせを採集し客観的に眺めてみる実験です。
<実験方法:食べたもの、その状態、器、季節や気温、その時見ているもの、空気や匂い、着ている洋服、気分、色、そして味。周りの要素を含めて感じた味わいを写生します。>
雲/晴天/ラジオから声/ホットコーヒーとミルクチョコレート/さらさらな風/なびくカーテン/雲竜柳の枝/西陽の色/鳥の鳴き声/目の前の壁を歩く蟻/足が少し冷たい/午後4時20分
久しぶりの現場の後の味噌汁/五臓六腑/まるで湯船/豆腐とかぶの葉っぱ/目をつむって静止/テレビから賑やかな声/誰かが囓るアジフライの音/食卓に飾られた菜の花/紺色のテーブルクロス
秘密基地の畑/畑で収穫したウコンをアーモンドミルク&蜂蜜割り/黄色/生きものの気配がし始めてきた畑/まだ少し寒い/さっき触ったゼラニウムのにおい/爪の中に土/急に育ってきたイタリアンパセリ/ポットに植えた種/土の味
公園の大きな四角いベンチ/小さい蟻/春の風/イヤフォンから週1回のラジオ/木漏れ日/あんぱんとじゃがいものフォカッチャ/言葉が沁みる/冷たいレモンティーを飲む
たらこのおむすび/作業机/窓を少し開ける/春めいてきた庭/さっきの話の余韻/揺れるアボカドの葉/はと麦茶の湯気/身体が少しだるい/雲の隙間から光
冷めた玉子チャーハン/台所に腰掛け/風に揺れる木々の影/陽に照らされた椅子の角/加湿器の音/銀色のスプーン/食べかけのみかん/新聞をめくる音/空にまるい雲が流れている
遅いお昼/フレンチトースト/なぜか楊枝で/太陽があたたかい/厚切りのキウイフルーツ/コーヒーの湯気/スタンゲッツ/ノートパソコン/居間のテーブル/遠くに人の気配/眩しさ
深夜2時過ぎ/頭が冴えて眠くない/誰もいない台所/炊飯器の中の白米/てのひらにのせる/甘さ/床にしゃがむ/冷蔵庫の音/暗がりに浮かぶテレビ/足元の絨毯にコーヒー豆/もうひとくちいただく
友人のアトリエ/作ってもらった粉ふきいも/出来立てをつまむ/芋の皮/マヨネーズ/うっすらと流れる音楽/雪道用の登山靴/茶色いエプロン/ストーブの上のやかん/サウナの話/つまみぐいでなくなってしまいそう
午後1時20分/キッチンの丸椅子/小窓から雪の影/足元のヒーターの色/味噌パン/ちまちまと囓る/筋肉痛/足裏に貼ったカイロ/スマートフォンで映像を見る/冷えたステンレス
恒例のお正月中華まん作り/湯気浴/蒸し立てをちぎって味見/肉汁/せいろの香り/お正月のテレビ番組/口の中火傷/だるだるの部屋着/踊る
陽の光燦々/あけましておめでとうございます/おせち囲んで/日本酒/笑い声/今年もよろしくお願いします
大晦日恒例/天麩羅の音と紅白歌合戦/知らない歌/片方の鍋にそばを茹でる/湯が沸く音と湯気/油のにおい/揚げたてを味見/山盛り/未だ年の瀬感がない/待機している数の子/パーカーが油くさい
おせち梱包の合間にお昼ごはん/近所の中華/本日のAランチ/青菜と海鮮炒め/熱々/サラリーマン集団の大声/厨房で鍋を振る姿が見える/壁に斜めに貼られたメニュー/寒そうに入ってくるお客/黄色いたくあん/年末の高揚感が入り混じる/黙々食べる/うまいうまい/すこしホッとする
おせちの仕込み中のキッチンで/近所のパン屋さんのカレーパン/お腹すいたと思って食べたらあまり食べたくなかった/隣に置いたクリームパン/伸び/食べたくないな/前歯で囓る/温かいジンジャーティー/ずらり並んだ瓶と水引/足の裏に貼ったホッカイロ/ラジオから人生相談
午後2時すぎ/どんぶりに山盛り残り物を乗せてお昼/顔の左側にあたる陽の光/目を瞑ると赤/窓から冷たい外気/生活音/正座でどんぶりかかえて/ハクモクレンのふさふさ蕾/輪郭が陽に照らされてきれい/カラスが鳴いてる/おいしい/目をつむる
寒い寒い帰り道/マスクの隙間から滑り込ませたチョコレート/マカダミアナッツチョコ/耳が痛いほど冷たい/マスクの中チョコ味の息をはく/ぬくい/少しずつ形を溶かす/なめらかな舌触り/寒そうに通り過ぎる人たち/バスを待ちながら
身体を使った後のごはん/ランチ A/食べている人の横顔/肉とごはん/たのしい/天気の良い窓の外/みなぎるちから/みんな食べてる
夜の帰り道/ホットカフェオレ/染み渡る高揚感/誰もいない路地/マスクをずらして/鼻に冷気/ひとくち飲んで息を吐く/満月の透き通った白/頭を傾け/軽い足どり/もう一周してから帰ろう
久しぶりの夜外食/広いカウンター/料理人の心地よい動き/和食とテクノ/肉を焼くけむり/向こうの角にいる見知らぬ家族/うすはりグラス/両隣にいる友人夫婦を交互に見る/喋ったり食べたり口がいそがしい/外食の味/頬がほてる
深夜2時/風がよく喋っている/目が冴えて眠れず/身をかがめて台所/裸足/水をひとくち/食道を通って胃に落ちるつめたい水/窓が鳴る/音が寒い/手をこする/水をもうひとくち/暗がりに並ぶグラス
くたくたで温めるサムゲタン/遅い夕飯/ご飯も入れて黒胡椒をひく/前のめりで食べる/大きなスプーン/長いため息/沁み入る美味しさ/がちがちになった肩をほぐす/テレビから笑い声/汗が出る/涙が出る/おいしい
追い詰められた仕込み/アトリエにて/大判焼きを囓る/冷たいあんこ/味わからず/食べたいのかもわからず/心鎮まれ/もうひとくち/大判焼き喰いちぎる
ターサイと豚肩ロースの炒めもの・ルクチェと水菜とゆずのサラダ・ネギと揚げの味噌汁・ビール/友人の台所で/日曜の昼下がり/だるまストーブ/やかんの湯気/静かな音楽/こどもの声/絵の具と作業台/いつまでもおしゃべり/満ちる場所/共に食べること
真夜中1時25分/暗い台所/冷たいふやけたうどん/秒針の音/ぶよぶよをすする/冷え切った窓/アレクサンドラ・ストレリスキ/ちょっとだけ、食べなければよかった/もう寝よう
夜/冷たい空気/自転車で/仕込みの帰り道/夜の公園/マスクをずらして/空気をすう/空気がおいしい/空気をすう/空気がおいしい/黒い木々が揺れる/冷たい空気/月がきれい
冷えたジンジャーバナナケーキ/曇天/仕事に手こずり気持ちがふさぐ/ケーキは美味しい/窓の外に揺れるアボカドの葉っぱ/飛行機の音/パソコンから流れる音楽/ピンク色のマーカー/背もたれを引いて深呼吸/ケーキは旨い
茹でた毛蟹/紺色のテーブルクロス/白い皿/毛蟹の目/少し遅くなった夕飯/下を向くみんな/誰も見ていないテレビ/どうぶつのなんとか特集/指を舐める/濃い旨味/ちまちま食べていたけどいつの間にかお腹いっぱい/赤い殻の残骸/新月
朝/今日もいい天気/地震のニュース/どんぶりご飯の上に残りもの乗せた朝ごはん/筋肉痛/お茶の湯気/昨日見た夢の話/大声で笑う/今日こそはと気合を入れる
ミルクコーヒー/眩しい陽の光/丸いマグカップ/お土産の南部煎餅/毛糸玉の話/何かそわそわする/12月のカレンダー/日曜日/机に座る/積み上がった本を眺める
お腹いっぱいだけど出てきたソース焼きそば/陽の光/麺が艶めく/空が高い/流れる雲/陽に照らされるホコリのダンス/おだやか/重いおなか/もう一口もう一口/つま先が冷たい/黄色い蝶々/美味しさと満腹感と
遅れて食べる夕飯/いわしハンバーグ/ゆずを絞る/冷たい味噌汁/熱い頭に丁度良い/沢山の活字/腹に落とす/冷たい飯/嬉しい冷たさ/ゆっくりと噛む/派手な花柄のシャツ/静かな台所
夕飯の後にみかん/皮が薄くて美味/飲むように食べる/うるおい/地理の話/フォッサマグナ/もうひとつ剥く/涼しい風が通る/味が濃くて旨い
畑で小豆最中/収穫したレモングラスでお茶/空腹にしみる甘さ/虫刺されを掻く/裸足に土/暑いけど風が涼しい/間引いた枝/ゼラニウムの香り/蝶々がたくさん飛んでいる
牧園の脇でソフトクリーム/真夏日/濃いミルク/平らな風景/土と草のにおい/手に溶け垂れる/食べる速度を上げる/最終日の悲哀/食べ終わりたくないけど食べ終えてしまった/じんわりとお腹が冷たい
約2年ぶりの出張/久しぶりの外で夕飯/地の魚の刺身/感無量/威勢の良い大将/甘い醤油/テーブルを囲む/明日のこと/手探りなテーマ/不安と興奮/白米をかきこむ/情報処理能力追いつかず/刺身がしみじみ旨い/泣ける
太刀魚のホイル焼き/バターとハーブ山盛り/骨をまさぐる/スープが旨い/頭の中は明治維新/はてさて/暗くなるのが早い/窓を開けると涼しい風/最近おなじみの蜘蛛/風土についてずっと考えている
台風/木々を揺らす風/激しい雨音/かまぼこの味見/1年ぶりの/フラッシュバック/17グラム/かしこい手/弾力/なまぬるい体/緑茶で流す
遅れて食べるポークチャップ/台所に丸椅子/作り置きした冷めた夕飯/たくさん笑って熱い身体/濃い味がしみる/目をつむる/目が疲れている/噛み砕いて熱を冷ます/絨毯に裸足/何か喋っているけど内容が耳に入ってこない
蒸したシュウマイときくらげ/青菜と酢醤油/微熱/和からし/身体がだるいがテンションは高い/テレビのバラエティ番組はうるさい/シュウマイは美味しい/肉汁をまとった皮/台所の電灯/人参の頭から芽
蒸し立てのかぼちゃ/蒸籠の音/ほっかほか/高揚感と湯気(蒸し物)は相性が良い/満ち満ちた気持ち/かぼちゃのオレンジ/出来立てを味見/なんて美味しい/小躍り/湯気が顔に/うるおい/周防大島 白皮かぼちゃ/景色を浮かべる/台所午後6時
夕方すぎ/梅干し入り炒飯/心ここに在らず/そわそわ/良い気候/猫の番組見て心鎮める/気合のおかわり/梅が酸っぱくて心地よい/時計の針/美味しいのに気持ちが上の空/薄目で西陽/美しき空
夜0時25分/ベッド脇でアルフォート3枚/間髪入れず/甘甘/今日は満月/中秋の名月/気がかり案件が少し動いた安堵感/息が抜ける/脳が甘い/招き猫と目があう/窓を少し開ける/鈴虫の大声/大きなあくび
素晴らしい秋晴れ/眩しさ/緑の匂い/よく冷えたサイダー/のどごし/ワンピースとスニーカー/玉砂利のじゃりじゃり/木漏れ日/人のいない道/歩くのが心地よい/深呼吸/居場所についての話/空が広い
濃いめの梅ジュース/ワークショップ後の一杯/大きな窓から西陽/さらっさらな秋晴れ/しみわたる甘さ/そういえば喉が渇いていた/心地よい余韻/アンケート用紙/急に眠気/子供達の声/日曜日の夕暮れ
遅れて一人ハヤシライス/食べ終わったお皿/台所のカウンターで/美味しかったと先に感想を聞く/適当なお皿に適当によそる/テレビのバラエティ番組/久しぶりに切った髪の毛/襟足を触る/想像以上においしい/数時間前の味見からの変化/お腹空かないと思っていたけどおかわりをする/秋の風
いつも通る公園/自転車/曇り空/裏返っている大型犬/肌触りの良い風/口の中のラムネ/マスク越しに金木犀の匂い/木々を見上げる/ゆっくり走行/今日は人が少ない/荷台に乗せた大荷物が揺れる
真夜中の台所/静寂/無目的に冷蔵庫を開ける/庫内灯が眩しい/棒立ち/規則的に鳴く鈴虫/絨毯の足触り/重たい身体/ちくわ1本/おもむろに囓る/カウンターにもたれて/静かな時間/もしゃもしゃ/なんでちくわを食べているのか/わからないけど結構旨い
栗ごはん/ついに秋/テレビは消してごはんに集中!/近所畑の無人販売で買った栗/もちろんおかわり/鼻に抜ける香り/きめの細かい舌触り/弾む会話/ため息多め/よろこび/食後に梨/身体も秋になっていく
久しぶりの秋晴れ/さらさら/冬瓜の味噌汁/透明になった実を透かす/半袖/染みた出汁/じゅわじゅわ/浮いた油の円/頭の左側が痛い/仕込み終わったクッキーのタワー/テレビではオリンピックの話/頭の付け根を揉む/味噌汁が旨い
仕込み中のキッチン/バターの匂い/ミントとバジルの匂い/においだけでお腹がいっぱい/近所のパン屋さんの惣菜パン/お腹は空いてないけどなんとなく囓る/午後3時/立ったまま/小窓から秋の風/あったかいお茶/筋肉痛の肩をまわす/秋らしい曲がラジオから/オーブンのタイマーが鳴る
メヒカリの唐揚げ/レモンと粗塩/夜のニュース番組/2度揚げしたから美味しいでしょと言う/2度揚げしたから美味しいねと言う/冷たい風/赤い靴下/買えなかった栗の話/作りすぎたと思ったけどあっというまに空になった皿/膝が冷える/今日も鈴虫
昨日の残りの煮込みうどん/中途半端に残っていた赤飯/薄曇りの午後/グールドが弾くバッハのゴルトベルク変奏曲/9月のカレンダー/ツクツクボウシと鈴虫/うっすらと汗/止まっている扇風機/味のしみた野菜/ぬるい汁
鈴虫の声/シャインマスカットと巨峰/たわわ/長袖のうすいパーカー/左腕の蚊に刺され跡/夕飯の残りの麻婆豆腐/巨峰の皮/ちょっとかたいシャインマスカット/鼻に抜ける香/口の中で弾ける弾力/鈴虫の声
深夜2時15分/自分の作ったクッキーの味見/終わらない作業/冷たくなったコーヒー/昼間ラジオから流れてた曲を探して流す/急に夏の終わりの/しっとり/クッキーの端/結局 全種類を味見/やっぱり美味しい
送られてきた鱧しゃぶ/意気揚々/鯛・鯖・穴子の押し寿司/湯気/窓を開ける/弾むため息/ほころぶ口元/目をつむって味わう/ハレの食卓/テレビの中の猫/首にかけたタオル/もっと食べたいのにお腹がいっぱい/待機してる押し寿司/やっぱりもうひと切れ/お腹をさする
熱風/猛烈な日差し正午過ぎ/次の目的地まで徒歩10分/自動販売機でポカリスエット/顔にあてる/首筋にあてる/天国/人のいない路地を狙ってマスクを下ろす/うるおい補給/滲み出る汗/うるおい補給/滲み出る汗/うるおい…
労いの桃/満を持して/丁寧に皮を湯むき/種のまわりをシンクで囓る/肘に滴る汁/夕暮れ/小窓からなまぬるい風/切った桃を白いお皿に盛る/大きすぎるフォーク/ジューシー/スローモーション/両腕を高く上げガッツポーズ
気合いの豚丼/景気付けに肉を焼く/午後2時のアトリエ/小窓の外からうすくタバコの匂い/クーラー/ラジオから謎のスペイシーな音楽/お気に入りの器/玄米/黒胡椒をひく/少し残そうと思いつつ全完食/気合いのつもりが急激に眠くなる/困った
あんバターパン/あんこずっしり/仕込み中の生姜とスパイスの香り/アトリエの丸椅子/脱いだサンダル/手帳を眺める/世田谷線の音/小窓から外をみる/パンに染みたバターが旨い
お昼のお弁当/アトリエのテーブルの端で/午前中掃除したから空気が綺麗/ラジオから流れる展覧会情報/足りなくて餃子を焼く/パリパリ/酢が心地よい/足りなくてチョコレートケーキを開ける/ホットコーヒーも淹れる/今日は底なしの食欲
薄暗い空/遅めの朝食/とろろかけご飯/雨の心配/気の抜けた日曜日/昨夜の夢/ジョーカー/のどごし/飲むように完食/ぼおっとしている/靴下を履いていなくて足が冷たい
ツイストドーナツ/とても甘いやつ/疲れて帰宅後/汗が冷えて寒い/台所の丸椅子/お茶が間に合わず完食/雨音とテレビの音/出したけど使わなかったお皿/今日は甘く感じない/もう半分切る/指を舐める/夕方の5時05分
冷たい雨/久しぶりの長袖/挽きたてのホットコーヒー/目をつむる/強くなる雨音/洗濯機の音/止まっている扇風機/息を吐く/まっすぐ立つ/心地よい重さ/深い褐色
冷やしたポテトチップス/心地よい風/絨毯に素足/猫の鳴き声/曇り空/暑さがすこし恋しい/指に塩/庭のゴーヤ/時計の秒針/無心にバリバリと
モロヘイヤの味噌汁/昨日の夕飯の残りを温める/真夏日/ツクツクボウシ/熱い液体が食道を通っていく/クーラーで冷えたつま先/のどごし/えいよう/沁みる旨さ/インターフォンが鳴る/あたたかいおなか
(2020~2021 前半に書いたものからのセレクトです ↓ )
チョコミントアイスクリーム / 明るい夕方 / スカートの裾を結ぶ / 夕飯の支度 / いりこのはらわた / さらさらな風 / 蚊に刺された左足 / ちょうどいいサイズ / ワクチンのニュース / 新ジャガの皮をこそぐ / 鼻に抜けるミント
冷めたチャーハン / 寒い晴天 / 重い肩 / ストレッチ / 薄いコーヒー / 2階のテレビの音 / 咲きそうな庭の木蓮の蕾 / 揺れる洗濯物 / 陽に照らされる窓ガラスの汚れ / なんとなく宙をあおぐ / 胃に溜まるチャーハンをさする
焼きたてスコーン / ポニーテール / 陽の明るさ / 祝日 / コーンスープ / 加湿器の音 / シャドーボクシング / コーヒーミル / 真っ赤な五本指ソックス / カリカリ / 鼻をつけて小麦粉とバターのにおいを吸い込む / 最高の出来
「キッチンの隅で焼きそばパン / 丸椅子 / 午後2時半 / 雨の匂い / 湿度 / 濡れた靴下のつま先 / 蛍光灯とステンレス / 仕込み途中のマグロの匂い / 暖かい番茶 / 作業着 / ほっと一息 / 紅生姜が妙に旨くて染みる」
「風呂場の脱衣所でシフォンケーキ(スーパーで買った)/ だるい身体 / 冷たい床 / 味気ないクリーム / 空腹 / バスタオル / いつもより少し暗い夕方 / 寒い雨 / ポソポソの卵風味」
「充実感の後の肉じゃが / テレビに映るニュースキャスター / 汗で湿った服 / 饒舌 / 塩分が足りなくて醤油を足す / 溶けた玉ねぎ / 浮き足立つ胃袋 / 冷静を装いながら / 正直なところ味があまりわからない」
「久しぶりの秋晴れ / 巨大おむすび / 湿気った海苔 / さらっさらな風 / 暖かい陽 / 高い空 / 開放感 / あったかい緑茶 / 笑い声 / 猫の声 / あっという間に完食 / 気持ちいい」
「深夜の台所 / ふやけたうどん / 静寂 / 寝る前の背徳感 / 鈴虫の音/ 寝巻き / ずずずとすする音 / なまぬるいつゆ / やさしさ / 暗い室内 / 胃にたまる感触が心地よい」
「さらさら / 心地よく抜ける風 / 窓を全開 / 午後5時半 / モンブラン / 白いメレンゲ / パラフィン紙 / 全員集合 / お茶とコーヒー / テレビから流れる トランプ大統領の演説 / 染み渡る甘さ / 山吹色」
「夜帰り道 / コンビニのあんぱん / コーヒー牛乳 / 満月 / 坂道 / スキップ / 誰もいない路地 / マスクを外して夜の空気 / キンモクセイ / 空車のタクシー / おろしたての服 / 鈴虫かなにか / 満ち足りた気持ち」