「地球塾」文化人類学者 竹村真一さんのラボ・料理担当(vol.4~7)
文化人類学者 竹村真一さんがデザイナーやアーティストなどに向け開催している会員制のラボ「地球塾」で、講義後ディスカッションの時間に食べる料理を担当しました。集中して講義を聴いた後のごはんの時間が、それらの内容を嚙み砕き、文字通り腑に落とすひと時となるよう、毎回の講義内容を少しだけ意識した料理にしました。講義の直後は頭に血が集まっているので、身体をひらき食べる準備の1杯として温かい汁物を一口ご用意しスタートとしました。
(以下、第4回〜第7回)
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第4話:ことば・宗教・芸術・アートの話(ゲスト・千住博さん)
2019.10.16 @ ミナガワビレッジ
今回はゲストがいらっしゃるので、ごはんの時間は短めにフィンガーフードでというご依頼で、つまみやすい一口サイズのオープンサンドなどをご用意しました。ミートローフとカンパーニュ、秋刀魚のコンフィとじゃがいもピュレと黒パン、海老レモンパプリカソテーとトマトクリームバゲットなど。「未開の文字」がテーマともお聞きしていたので(当日内容は変わりましたが)文字のような何かの形のような造形のクラッカーやクッキーも作り、自由に組み合わせて新しい自分の文字を作りながら食べられるようにしました。クラッカー用にディップ各種、自家製ドリンクも各種ご用意しました。
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第5話;ディスカッション
ディスカッションのため第5回目はごはん無し。簡単なつまみのみ。
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第6話;未開のことば
2019.12.17 @ AL
透明な板に平らにクリームチーズを伸ばしたものとグリッシーニを各自にお渡しし、何か自分なりの文字のようなものを創作し書きながら(グリッシーニでチーズを削りながら)食べていただきました。その他12月だったのでツリーのような春菊の天ぷらや、白菜と長ネギのグラタン、豚肩ロース肉のグリル自家製マスタード添えや、野菜のグリルバルサミコ醤油ソース、ビーツのサラダ、砂肝と紫キャベツと黒米のライスサラダなど。
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第7話;「お金」の未来
2020.1.16 @ AL
お金、なかなか難しいお題で悩んだのですが、溶けるお金、紙幣のアイスを作りりんごのソテーとともにデザートにお出ししました。実態がありそうでないお金ですが、お金の意味や価値を溶かすようなお話が聞けるのでは?との思いと、価値に期限がある期限付きのお金があったら良いのでは?というお話も出るかなと想像し溶けるお札にしました。新一万円札の渋沢栄一さんの柄の型を自作し、平らに作ったバニラアイスクリームにココアパウダーで仕上げました。寒い時期なのでメインはサムゲタン、銀杏のおむすび、紅芯大根の漬物、ちぢみほうれん草と塩茹でレバーの山椒の実ナムル、ニラキムチ、長ネギマリネ、メークインとセロリの千切りサラダ、からし菜と金柑のサラダなど。
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※8〜10回はコロナ禍のためオンラインでの開催になり料理は提供できませんでした。
第8話はテーマが「戦争」でしたので「相手を受け入れるとは?」という内容で料理を考えていました。「料理」はそれを体内に入れるという意味で、作った相手を受け入れる最たるものだと思うのですが、そのことを可視化するために目の前に並んだ具材でおむすびを作り目の前の人と交換して食べてもらうというのをやろうと考えていました。
おむすびは最もシンプルな料理であり、その人が直接米や塩に触れて出来上がります。その人が素材にどう触れているかがダイレクトに現れ、それは「手の味」であり、極端な言い方をすればその人の手にいる常在菌をいただくという側面もあります。
母親のおむすびしか受け付けない子供が増えてきていると聞きますが、確かに手を綺麗に洗ったとしても、料理人でない目の前の人が握ったおむすびには、何かしらの感情が動く気がします。しかし日常そんなに気にせず誰が作ったか見えないものも口にします。そんな「食べる」行為のある一面を可視化し「受け入れる」ことについて体感とともに考えることをしようと考えていました。
開催日は2月。コロナ禍が徐々に勢いを増してきたタイミングで中止となったのですが、握手もNG、食卓を囲んで集うこともNG、相手と距離をとって、除菌除菌の生活に一変するタイミングでこのテーマだったのも何かの縁かなという感じで、受け入れること、料理し食べること、についてより深く考えさせられました。
写真:徳永彩(第4・6話)在本彌生(第7話)
地球塾実行委員:中山英之/田中義久/中村水絵(HeHe)
会場:ミナガワビレッジ(第4・5話)AL(第6・7話)